小学3年生の時、兄のお下がりのスタートカメラと言うカメラが最初に触れたカメラだった。今で言うトイカメラだ。

母から小銭をもらって、近所の写真屋で「みのりのエスエスを入れてください」と言ってフィルムを装填してもらい、そのまま裏山に登った。
葉の落ちたケヤキの木をシルエットにして町の風景を撮った。
玄関で母の姿も撮った。それから寝たきりだった祖母の姿を庭先から撮った。

思い通りの「絵」が撮れるのも楽しかったが、景色が「写る」と言う化学反応が何よりもおもしろかった。

写真を撮ることを仕事にした今でもあの頃の興奮は忘れていない。

Mitsuru Nakamura

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